トプカプ宮殿や幾多のモスクを彩るイズニックタイル。

オスマン帝国が栄華を極めた16世紀に品質、デザイン共に最盛期を迎えた後、次第に劣化してゆき、18世紀に入ると完全に生産を終えられてしまいます。

イズニックタイルの歴史について詳しくは、こちらをご参照下さい。

1980年代、イズニックタイルの美しさに魅せられた陶芸家たちが一人、また一人とイズニックへ移り住み、長年の試行錯誤の末、一度は途絶えた技法や材料を再現することに成功します。

そして、現在。

伝統的な技法を継承した工房や財団が、オスマン時代のレプリカ、お土産物品などを生産している一方で、イズニックタイルに刺激を受けたアーティスト達が、独自の作品制作に励んでいます。

商船三井トルコとして、現地でタイル絵師として活躍する日本人作家、アックシュ香苗さん、鬼頭立子さん、窪田有美子さんの作品を取り上げました。

その中の一人、鬼頭さんにいくつかの質問をさせて頂きます。

Q. トルコタイルに興味を持ったきっかけを教えて下さい。
きっかけは、もともとは細密画が好きで自分自身でも描きたいと思ったこと。トルコのミマル・シナン芸術大学でならトルコ芸術と美術史を同時に学べると知り外国人枠で入学しましたが、大学で細密画はもちろん様々な伝統芸術分野の基礎を学ぶにつれて、タイル画のスケールと表現手法に惹かれる様になり装飾タイルを専攻することになりました。
 
Q.サークップ・サバンジュ芸術賞を受賞されたそうですが、それについて少し説明していただけませんか。受賞した前後で自身の芸術活動に変化はありましたか。
 
サークップ・サバンジュ賞は、学科上位で卒業した人に授与されます。トルコ伝統芸術に関しての授業はどれも興味深く、気になる講義は可能な限り受講し、挑戦した結果、サークップ・サバンジュ賞を頂くことになりました。
受賞前も受賞後も変わらず、伝統を基礎として独自性のある作品を創り出せるように学び続けています。

MOLトルコとして、世界中のすべての伝統芸術が支援されるべきであると考えています。そして、トルコの「イズニックタイル」と、その芸術に心酔するアーティストを応援しています。